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  • 天使の翼 悪魔の影83

    なかった。

    大統領も核が通じるかどうかを意識では知っているはずだった。

    しかし悪魔によって誘惑された彼らの判断は鈍っていた。と言うより、単純におかしくなっていたのだ。合理性が徐々に失われつつあった。

    元々攻撃的な思考をする人間は悪魔にとっても好都合だった。大統領も操られているわけではない。揺らいでいるような感じだろうか?誘惑はされている。しかし自分の意思でもその判断をしているのだ。その人の自由意思と誘惑との境界線は曖昧な状態だ。

    水爆が基地から発射された。数は20発。それは大気圏を一旦出てから目標に落ちてゆく。天使は必死でカイトたちに伝えようとしていたが、全く通じなかった。悪魔の側も正念場なのだ。

    「・・・まずいですね・・カイトは大丈夫でもヨシヒロが・・・」ガブリエルは言った

    「・・・とにかく伝えなければ・・・ぎりぎりでもカイトなら間に合うかもしれない・・・」ミカエルたちは必死で通信を試みた。

    「・・・やつらの力がすごい・・・。通信されてしまうかもしれません・・・」かたやリリスが弱音を吐いた。

    「・・力を振り絞れ!・・お前たちもだ!・・・」リリスだけではなく他の悪霊も彷徨うものに協力していた。彼らは天使たちに負けたくない一心でまとまっているのだ。

    そして、水爆がヨシヒロの別荘の上空で爆発した。20発水爆が狭い範囲で同時に爆発したのだ。

    すべてを焼き尽くしヨシヒロの別荘だけではなく軽井沢駅も、半径数十キロにわたって破壊された。

    「・・・間に合わなかったか・・・」ミカエルが言った。

    「ぎゃーーーー!!」カイトはのたうちまわっていた。いくら彼でも水爆20発では皮膚は焼かれズタズタになっていた。それでも死ぬことができず、痛みに耐えかね叫ぶしかない。

    「ぎっぎっ・・」叫びの合間に絞り出すような声。

    「・・・カイト・・着実に修復はされている・・その苦しみはそう長くは続かない・・」

    「あーーーーー!!」うずくまってただ痛みをこらえる。しかし急速に傷は治っていく。

    「ヨシヒロ・・は・・はあっ・・・ダメ・・・だったんだろ?」カイトは言った

    「・・・すまない・・彼は蒸発した。・・・」


  • 天使の翼 悪魔の影82

    「いや。別に」とカイト。

    「今の、へえって・・ちょっと気になる。」

    「あ?ああ眠いなあって思っただけだよ。」

    「そう・・・半分は冗談だよ。そんな簡単に殺さないよ」ヨシヒロは言った。

    「ん?わかってるよ」

    ヨシヒロは不安を感じていた。カイトはヨシヒロほど残酷ではない。と言うより心は優しい方だろう。カイトが失望する顔は見たくはない。しかしその為に自分を犠牲にすることはヨシヒロにはできなかった。もし本当に自分が危険に晒されたら彼は躊躇なく人を殺せるだろう。特に人を憎んでいるというわけではない。しかし比較的簡単にそうできるのだ。そんな予感があった。

    「ねえカイト・・あのさ・・」ヨシヒロはカイトの隣に座った。

    「カイトは好きな娘っているの?」

    「なんだいきなり。」きょとんとカイト

    「いいじゃん別に。」

    「まあいた事はいたけどな。でもフラれた。」

    「いたんだ!」ヨシヒロは驚いた。

    「別にいたっておかしくないだろ?」

    「そりゃあ・そうだけどさ。」

    「ん?何が言いたい?」

    「ええっと、実は僕は好きな人がいてさ」

    「へえ!お前そう言う話ししねえから興味ないと思ってたよ」

    ヨシヒロはカイトのことを言っていた。何故だか今が告白の時のような気がしたのだ。

    「それでえ、好きな人っていうのは・・・カイトなんだよね」

    「・・・・」しばらくカイト黙った。

    「やばかった?ひいちゃった?」心配するヨシヒロ。既に目が潤んでいる。失敗したと思い始めているのだ。

    「いや、別に・・でも俺、女が好きなんだよなあ・・」

    「そっか・・そうだよね・・・」もうヨシヒロは泣きそうだ。しかし・・・

    何故かカイトはヨシヒロの肩を抱いた。そしてそのままキスをした。

    「言い直す。女も・・かも知んねえ・・・」

    「核攻撃しかありません。」元副大統領、現在のアメリカ合衆国大統領は言った。

    「日本に水爆を落とすというのですか??」国防長官は不思議に思った。どう考えても勝てるはずはないのに、何故?と思っている。悪魔の干渉を受けないものには、彼らの考えは理解でき

  • 天使の翼 悪魔の影81

    「・・・あたしもびっくりです・・・」とリリス。

    日本軍の東京湾基地にアメリカの輸送機が着陸した。中にいるのは海兵隊。車両や人員が続々と降りてくる。悪魔たちの囁きが功を奏し、アメリカから海兵隊が送られてきたのだ。人間の状態のカイトを攻撃するために。

    「到着しましたね。」日本の国防長官が言った。

    「カイトとヨシヒロ?か。彼らは危険すぎる。」湯沢首相は諦めていない。と言うより、毒殺と同時進行で計画されていたことなのだ。彼らが持っているのはありったけの化学兵器と生物平気だ。全く無駄なことなのだが、そのことに湯沢首相は気づいていない。

    何かがおかしい。さすがに人への干渉がこんなにうまくいくことに悪魔とリリスは不安を感じた。うまくいったら行ったで怖いのだ。実は小心な二人。

    「・・・変です・・私たちの囁きがこんなにたくさんの人に通じているなんて・・・」リリスは言った。

    「・・確かにおかしい・・多分天使でさえこの人数に干渉はできないのに・・」彷徨うものは訝しんだ。確かに今も人間を誘惑している。しかしこんなにはっきりとは、できないはずなのだ。それにそんなに力は残っていない。だからこの数の人間を操れるわけはないのだが・・。

    天使たちも訝しんでいた。

    「・・・彷徨うもの、悪魔が急に力を増している・・・指導者ばかりが影響されている・・?これは一体??・・・」

    一般の市民は大部分がカイトが必要なことを理解していた。しかし国を率いるものばかりがカイトを敵視し、無駄な抵抗を諦めることができないでいた。

    「・・・効率よくカイトを攻撃させるためでしょうか?一般人を操っても大したことはできないから?・・・だから指導者ばかりなのでしょうか?・・・」とガブリエル。

    「そうかもしれない・・・しかし人間の武器は全て通じない。生物兵器化学兵器も効果はない。変身すれば治ってしまう。・・・やけっぱちなんじゃないか?無駄でもなんでもやってみろって思ってるのかもしれないな・・・」ミカエルは言った。

    「お前怖いからなあ・・ほんとにやっちゃいそうだな」カイトはヨシヒロに向かって言った。

    「うーんホントにやると思う。あんまり罪悪感はないかな・・・もうどうでもいい。あんな人たち」

    「へえ・・」

    「カイト、僕のこと怖いと思った?」


  • 天使の翼 悪魔の影80

    しかし二人は動かなかった。

    「いや・・いいだろう、ヨシヒロは監視されていることは気づいているし、俺らが気になっただけだろう。」先輩風の男が言った。

    ・・・来ないみたいだ・・・カーテンを閉めたのでヨシヒロは心おきなく力を使えた。冷蔵庫がひとりでに開き、お茶のペットボトルが、誰の手も触れていないのに宙を移動している。カレーピラフと餃子とペットボトルなどが宙に浮いたままヨシヒロと共にカイトの部屋に向かっている。

    「お待たせー」小さなテーブルに箸や醤油皿などもカレーピラフと共に着地する。

    「お、うまそースゲエ、ギョーザだ!!」

    「好きでしょう、餃子。僕も好きだけどね。まあ食べてよ。」ヨシヒロは言った。

    「いただきます。」

    「リビングにも出られるよ。あ、カーテン閉めたから」

    「見張りは大丈夫なのかよ?」とカイト

    「透視したけど大丈夫だったよ。一瞬怪しんだけど来るのやめた。」

    「お前今も透視できるんだもんな。俺は今なんもできねー」言いながらカイトはスプーンでピラフを口に運ぶ。

    「・・これからどうしよう。日本から出て行かなきゃいけないのかな・・」

    「何で?」口に含んだままカイトが言う。

    「・・・だって・・この場所は知られてるし、暗殺者が来たらどうする?ここを核攻撃されたら?カイトは大丈夫でも僕は死んじゃう。」

    「そっか・・・」カイトは餃子を口にいれそのままつぶやいた。

    「そうだよな・・・お前は核攻撃には耐えられない・・・」

    「先手を打とうかな・・・」ヨシヒロはふとつぶやいた。

    「先手って?」カイトが言った。

    「だから先手。こっちから攻撃してはいかがでしょう?もう敵みたいなもんじゃない?政府って。だから湯沢とかをカイトが殺しちゃえば?」ヨシヒロがサラっと言った。

    「ええ・・それはちょっとーーーどうだろう?」カイトはニヤニヤとしながら言った。

    「・・・カイトたちを憎むのだ・・・」リリスはアメリカの指導者、今は副大統領だがそれに影響を与えようとしていた。操ることはできないが、そそのかしているのだ。初めはダメ元だった。副大統領とは波長が合っていないのだ。そのはずなのだが、副大統領の心にカイトへの憎しみが膨れあがった。

    「・・・何と!干渉できるではないか!・・・」悪魔は驚いた。

  • 天使の翼 悪魔の影79

    非言語通信をした。

    「・・・リビングのカーテンは締めないほうがよさそうだ。その部屋に入ってよ。そこは元々カーテンを締めてあったから。・・・・急に占めると疑われそう・・・もっと暗くなったら閉めるよ・・・・」

    ヨシヒロは見張りを透視した。どうやら気づいてはいない。見張ってはいるが彼ら自身食事中だ。

    部屋に着いて、カモフラージュを解かれるカイト。ベッドにどかっと腰掛ける。

    「あーすげえショック。頑張ったつもりなんだけどねえ・・・」仰向けになりつぶやくように言った。

    「・・可能性はあった・・というか少し危惧していたんだよね。でも怪物の驚異の方が勝ると思ってた・・・あの首相どうしたんだか・・・また怪物が現れても、もう行く必要ないよ。それにカイトに毒なんて効かないって思わなかったのかなあ?毒ならなんとかなるって思っちゃったのかな」とヨシヒロ。

    「そうだな・・・行かねえ。割りにあわねえよ」

    「何か食べる?持ってくるよ。リビングは結構、外から見えるけど持ってくる分にはわからないと思う。」

    「悪い・・なんでもいいよ。ありがとう。腹減った・・・」

    「うん、ちょっと待ってて」ヨシヒロは宙に浮いて、そのまま部屋から出て行った。

    「お前いつも浮いてんの?」まだ、廊下にいるであろうヨシヒロにカイトは言った。

    「そう。面白くて、リビングに行く直前には降りるよ。ホントは行かなくても用意できるんだけどね。物が浮いているのを見られても面倒だし。」

    ヨシヒロは買ってあった冷凍食品をレンジで温めた。

    そして思った。別にカーテンを占めても大丈夫かもしれない。別に誰かが来た時だけじゃないだろう、カーテンを占めるのは。疑われてもいいと思ったヨシヒロはカーテンを締めた。家を見張っている者は車の中で、!と思ったようだ。少し体を動かした。

    「カーテンを閉めましたね。誰か来たんでしょうか?」見張りの男の一人が言った。ハンバーガーを食べ終わり、コーラを飲んでいた。

    「俺らが見張ってたのに?」

    「カイトは姿を消せるんですよね?・・・」

    「行くか?」先輩風の男が言った。

    ・・・やばかったかな・・ヨシヒロは会話を聞いていた。このくらいの距離なら多少ノイズは入るが聞き取れる。それに踏み込まれても気絶させてしまおうとヨシヒロは考えていた。

  • 天使の翼 悪魔の影78

    「・・・どういうこと?・・」

    「・・・毒を盛られたらしい・・で変身したから大丈夫だったんだけどさ。それに俺のいた建物にも人はいなかった。透視したんだ。遺体はなかった。・・・」

    「・・・そお・・・大変だったね・・・いいよこっちに来なよ。・・・警察はやっぱりきたよ。今も多分外で見張ってるんじゃないかな?でもカモフラージュしてくればいい。・・食料はたっぷり買ってあるしね。・・・」ヨシヒロはそんなに大変だと思っていないふうだ。

    「・・ありがとう・・そっちへ行くよ・・・」

    「・・・大丈夫?凹んでるの?・・・」

    「・・ちょっとな・・・何で俺を殺そうとするわけ?・・」カイトはある面、純真なところがあり、殺されるほど憎まれている、と思い結構落ち込んでいた。

    「・・それは・・・あの首相、何かいけ好かない・・って言ったの覚えてる?・・そういう分けのわからない奴なんだよ。・・・」

    「・・・そうなのかな・・・」カイトは今、カモフラージュしたまま空を飛んでいる。スピードは音速を超えた。

    そこへミカエルが話しかけた。

    「・・・首相についてだが、実は悪魔が囁いている・・・」

    「・・!ミカエル様!・・」

    「・・良いのだ・・ガブリエル。・・カイト、我々は限られた人間に干渉できる。善や悪に誘導する感じかな。その一環なのだ、お前やヨシヒロに力を与えたように、悪魔もそれができる。首相は悪魔と波長があってしまったようだ。・・・完全に自由意思を奪うことは、なかなかできないが、首相は元々お前に反感があったようだ。しかし、ここまでするとは。不合理すぎる。怪物がまた現れたらどうするつもりなのか・」

    「・・・そおっすよね・・・もう助けんのやめよう・・・嫌だ。何で殺されかけなきゃなんねーんだよ・・・」音速を超えてるせいかヨシヒロの別荘へはかなり早く着いた。

    カモフラージュをしたまま、別荘の庭の10センチ位の所にカイトは浮いている。

    「・・・カイト・・どうする?・・ここは見張られてる・・変身を解いたらバレちゃうよ・・僕がカモフラージュをかける・・ちょっと範囲が広いけどやってみる。」とヨシヒロ

    ヨシヒロはカイトの全身をカモフラージュした。その中でカイトは変身を解いた。見張っているものには何も見えない。ヨシヒロは庭をなんとなく歩く風で一旦家を出た。カイトは開いたドアから中に入り、ヨシヒロは庭の草を眺めちょっと触ったりしてから家の中に入った。ドアを閉めてからカイトに


  • Artemis 4

    “Meanwhile, on Mars… ‘We must annihilate those arrogant Earthlings,’ spat the Martian military commander.

    ‘Another war? Even though nearly half of our population has already perished?’ said the Martian President. In the First Interplanetary War, Mars lost about half its population, while Earth lost about a third.

    ‘You’re too soft. Why? Why do you side with them?’ the Martian military commander said. Despite his title, this man could not see the bigger picture. If there was another war, both sides would face annihilation. How foolish, thought Elizabeth, the President of Mars.

    ‘My duty is to protect the safety of the people of Mars. I don’t believe your methods can accomplish that,’ she said, restraining herself from calling him the incompetent fool he truly was, someone who had climbed the ranks purely through politics. ‘If we go to war again, even your sycophants might disappear,’ added President Elizabeth of Mars.

    Elizabeth was exploring the path to peace. But Earth was different. The aggressive military commander was, in fact, right. The people of Mars, however, didn’t know that. How ironic it was that the fool was the one actually speaking the truth.

    ‘What can we even do?’ said a young man with a slouch.

    ‘That’s why I’m saying… let’s do something big. Something huge, you know?’ said another, who seemed to be his companion.

    ‘You’re always talking about pipe dreams. You’ve got no specifics, no details. What do you mean by “something big”? You’re all talk,’ the slouched young man replied, locking his hands behind his head. His name was Joshua.

    一方火星では・・・。「傲慢な地球人たちを皆殺しにしなくてはならない。」火星軍司令官は吐き捨てた。

    「また戦争?こちらも人口の半数近くが死んだというのに?」火星の大統領は言った。第1次惑星間戦争で火星は人口の半分ほど、地球は三分の一程を失っている。      

    「あなたは弱腰だ。何故だ?何故彼らの肩を持つ?」と火星軍司令官。司令官だというのに、この男は大局を見ていない。次に戦えばどちらも滅びるだろう。まったく愚かな。火星の大統領エリザベスは思った。

    「私の役目は火星の人々の安全を守ること。あなたの方法では守ることなどできないと思いますが。」本当は、政治力だけでここまで来たボンクラ、と言ってやりたいのを彼女はこらえて言った。「もう一度戦争になればあなたの太鼓持ち達も、いなくなってしまうかもしれませんよ?」と火星大統領エリザベス。

    和平への道を模索しているエリザベス大統領。しかし地球は違うのだ。好戦的な火星軍司令官の方が実は正しかった。でもそのことを、火星の人達は知らない。ボンクラの言っていることの方が正しいだなんて、なんて皮肉なのでしょう。

    「俺たちに何ができるって?」だらけた感じの若者が言った。

    「だからさー俺たちで何かこう・・・でかいことしねえ?って事だよ。」これは仲間と思われる一人。

    「お前はいつも夢みたいなことばっかだな。具体性がねえんだよ、具体性が、何だよ、でかいことって、口だけじゃん。」頭で手を組みながら彼は言った。彼の名前はヨシュア。

  • 天使の翼 悪魔の影77

    ついに暗殺実行の時が来た。夕食がカイトの元に運ばれ、その中には無味無臭の毒物が仕込まれている。

    「・・・ダメ元だ・・・とにかく毒を・・・」悪魔はすがるような思いだ。

    毒の入った食事をするカイト。無味無臭のため今のところ何もない。食事を終わり、寝転んでテレビを見ている。しかしだんだん苦しくなってきた。

    「なんだ!?苦しい・・・」立とうとしたが体が動かない。

    「やべえ・・毒か・・?これ・・・」。毒によって意識が薄れてゆく。しかしその先にあるのは眠りではなく死なのだ。

    ・・・呼吸ができない・・・

    次の瞬間カイトは変身した。建物は爆発し、カイトのは瓦礫の中から現れた。

    「変身しちゃったなー。でも楽になった。」カイトは心配した。建物の中に人が居ると思ったからだ。しかし、遺体や怪我人が見当たらない。爆発を考慮しカイトのいる建物には人はいなかった。それぞれに理由をつけられて従業員全てが他の場所に出かけていたのだ。

    「・・・人間がお前を殺そうとするとは・・・・」天使はまた妨害されていたのだ。

    「・・また妨害されてたのかよ。まさかワザと?教えろっての・・・」多少カイトは苛立っていた。

    ・・ほんとに天使って信用していいのか?・・そう思うのも無理はなかった。天使達はあまりカイトことを本気でサポートしていない。

    「・・・すまない・・油断していたのだ・・・・」

    「・・・ミカエル様・・・あまりそういう事は言わない方が・・・」ガブリエルはたしなめた。

    「・・そ、そうだな・・・」

    「・・・ヨシヒロ・・ヨシヒロ・・・」天使はカイトとヨシヒロの通信を中継した。まだこんな距離は二人の力では難しいのだ。

    「・・・我々が仲介しなければこんな遠距離の通信はできないからな・・」ミカエルがそう言うと、ヨシヒロの応答が聞こえた。

    「・・・カイト?・・あ、通信できるね・・・」

    「・・・・ヨシヒロ・・・・・」カイトが疲れたように言った。

    「・・・力が発達しているようですね。後もう少しで中継なしで・・・通信できそうです」とガブリエル。

    「・・お前んとこ行っていい?俺殺されかけたよ。・・」

  • 天使の翼 悪魔の影76

    湯沢首相は密かに日本版秘密警察本部長と会っていた。カイト暗殺のためだ。日本が核武装する流れの中で密かに暗殺も請け負う組織ができた。Kgbなどと同じだ。と言うよりそれをモデルにしている。

    「カイトを処理して欲しい。」と湯沢

    「処理・・あのヒーローをですか?」

    「ヒーローだなどと・・・愚かなことだ。やつはヒーローなどではない」と湯沢

    「分かりました。もちろんご命令とあれば我々は実行いたしますが・・」

    「実行してくれ。奴はいる場所がない。だから我々が住居を用意する。機を見て食事に仕込むんだ。やつには通常の攻撃は通じない。しかし人間の時なら毒が有効かもしれない」湯沢は気づいていない。生命の危機があればすぐにカイトは変身してしまうことを。

    本部長はさすがに、カイト暗殺は賛成できなかった。そんなことをすれば、次にあらわれた怪物に、自分の娘だって危険にさらされるかもしれない。彼にも高校生になる娘がいるのだ。あんな怪物を野放しにしたくはないのだが・・・。そこはやはり宮仕え。上司に言われれば逆らうことはできない。彼らは心の深いところから従ってしまうのだ。

    この計画を悪魔達が察知した。

    「この男にも干渉しないと・・・」悪魔とリリスは、出来るとは思えなかったが、秘密警察の男にも囁きかけた。しかしうまくいかない。やはりこの男には干渉できないようだ。

    「・・どうします?・・・」

    「・・・ほっておけ・・・それより・・アメリカやロシア他の首脳たちに囁きかけるのだ。」しかし、他の首脳たちも干渉できなかった。それは許されていないのだ。

    カイトは首相官邸に降り、変身を解いた。ゆっくりと近づいてくる政府の職員。

    「おかえりなさい。カイトさん。早速ですが首相がお会いになりたいとのことです。こちらにどうぞ」

    カイトの他にも数人がなんとなくカイトを囲んで歩き始めた。

    「あなたの部屋の用意があります。食事も。お疲れでしょうから首相にお会い頂いた後、すぐ部屋にご案内します」

    「ありがとうございます。まあ、そんなに疲れてはいないんですが・・」とカイト

    暗殺はすぐには実行されなかった。首相に会ったあと、何かと理由をつけて筑波にある研究所のようなところにカイトは車で移送されたのだ。そして部屋に案内されたカイト。ベッドの上に寝転がる。かなり広い部屋だ。豪華ではないがトイレもバスルームもあり、広めのビジネスホテルのようだ。


  • 天使の翼 悪魔の影75

    というのも大阪と京都がほぼ全滅になったので、どのチャンネルもそのことで大騒ぎだ。

    「・・・俺たちのこともやってるな・・・」とカイト

    「・・・そりゃそうでしょ・・・」二人は言葉を使わずに会話している。

    廃墟になった場所からのレポートが一旦終わると、黙祷が捧げられ、司会者とコメンテーターが話し始めている。そこにニュース速報がはいった。

    湯沢首相の緊急会見があるとのことだ。画面が首相に切り替わった。内容はカイトが人類のために戦ってくれていることの感謝だった。そして是非連絡が欲しい。あるいは直接官邸などに来てくれるようにとの内容だった。

    「俺のこと良く言ってるじゃん。戻ってもよくね?」

    カイト達は言葉を使わない方法で会話している。

    「だねえ・・感謝されてるよカイト・・・でも・・あの首相が?」ヨシヒロは何故かあの首相は好きではない。なにか胡散臭いのだ。二人はしばらくその家の上空でテレビを透視した。

    山に戻る途中で

    「・・・これなら戻れるな・・・」呑気なカイトは楽観視していた。

    「・・・僕もなにか食べたいしな・・・じゃあ・・もどる?あ、でも僕は隠れなくてもいいんじゃないかな?バレてないよね?そうだよ!何だ!帰れるよ。別荘に。」

    「・・・そうだよ。お前は帰れるよ。警官がいるかもしんねえけど。・・・」

    「・・・いるかな・・質問攻かな・・・うわ・・めんどいなー・・・どうしていなくなったのか?とか?・・・」とヨシヒロ

    「・・・そうじゃね?・・・」

    めんどい、と言っていたが二人は戻ることにした。カイトはヨシヒロを手のひらに載せ軽井沢の別荘に向かった。

    飛びながら非言語会話をする二人。

    「・・・どう嘘つこう??・・・」

    「・・・めんどくさいから逃げた・・とかダメ??・・・」と、カイト

    「・・・めんどくさいはちょっと・・。・怖いから・・にしようかなでも、疑われるよね・・・」

    「・・・すげえ追求されそう・・・」

    「・・・そういうこと言わないでよ・・・何かされたら脳の血管切っちゃお!・・」ヨシヒロは言った

    「・・うわ・お前それ・・・」カイトは瞬間引いた。

    「・・一応冗談だよ・・」ヨシヒロはそれを感じ、冗談にしたが、彼は躊躇などしないだろう。

    本人もそのことを感じていた。