月: 2026年4月

  • アルテミス10

    アルテミス10

    「あら大丈夫よ。あなたのサポートの方が嬉しいけど、この子もそれなりに優秀。」アルテミスは戦闘機に内蔵されているコンピュータを指差して言った。

    月面から急加速して飛び立つアルテミス。「加速しすぎでは?体は大丈夫ですか?普通の人間では気絶している筈ですが。」とオリオン。その声は心配そうだ。

    そうなのだ。有に10Gは超えているが、彼女は力を使って重力を中和している。三人の中で最も力が強いのが彼女。

    「アルテミス、急加速し過ぎだ。大丈夫なのか?」と管制官は言った。

    「大丈夫よ。最近こんな事ができるようになったの。そこにミンチン博士は居る?」とアルテミス。

    「ええ、居るわ。そんな事言ってなかったのに。隠していたのね?」とミンチン博士。

    「ええっと、別にそんなつもりはなかったの。何となく言えなくて・・。だって、最近、力が益々強くなっているのよ。自分でも考えたかったの、どういうことなのか」アルテミスの声は少し不安を感じているようだった。そういう会話をしながらも、アルテミスの戦闘機は加速を続けている。

    「さらに加速を強めています。現在16G。」管制官が言った。

    「本当に大丈夫なの?」とミンチン博士。「博士の声につよい不安があります。加速を緩めてはいかがですか?」オリオンは穏やかに言った。

    「そうね。加速をやめるわ。少し疲れた・・」アルテミスは言った。

    「どのような感じの疲れなのでしょうか?力を使った後の疲れとは?私もアルテミス達のような力を持てていたら、きっと楽しいでしょう。」オリオンはそちらの方に興味があるようだ。

  • アルテミス9

    士をつけて釈放させた。実際、下端のヨシュア達は何も知らないのだ。しかし、それはちょうど良かった。これから地球に、核を打ち込む貨物船にヨシュア達は乗り込むのだ。もちろんヨシュア達に本当の事は教えない。

    廃棄物から採った希少金属を運ぶ運搬船。それなら地球を守る攻撃衛星の軌道内に入ることができる。そしてミサイルを発射した後、その宇宙船は迎撃衛星から攻撃されるだろう。しかしチンピラの命などストルムグレン達にはどうでも良いことなのだ。

    「君達には地球へ行ってもらいたい。資源運搬船に乗ってもらいたんだ。そのために助けたのを忘れるな。」ストルムグレンはハッキリと恩を売った。

    「運搬船?はあ・・まあ、いいっすけど、それだけ?」ヨシュアの質問にストルムグレンは「ある人を運んでもらいたい、地球にいる、その人物を我々の元に連れてきてもらいたいのだ。もちろん普通に連れてくる事はできない。彼は指名手配されているからな。」これは嘘だ。そんな人間はいない。しかし捨て駒がそんなことを知る必要はない。

    戦闘訓練

    退屈な力の訓練。アルテミスは、この訓練は好きじゃない。

    でも次は戦闘機に乗ることができる。「やっぱり戦闘機よねえ。」アルテミスは、戦闘機訓練は気に入っていた。新しい力が発現しつつあるのを、前回発見してから。

    「準備はできていますか?」コクピットにいるアルテミスにオリオンが言った。ここにあるのはオリオン本体ではない。

    しかし通信が生きている時はオリオンがアルテミスをサポートする。「私がいつも一緒にいて差し上げられれば良いのですが。」とオリオン。

  • アルテミス 8

    配空域だが、地球や火星で落ちぶれた者が一攫千金を夢見てやって来る。しかし大部分は落ちぶれて犯罪に手を染めるか薬物で死んでゆくかである。

    オリオンのように自意識があるコンピュータは、ハッデン産業、太陽系で最大の大富豪ハッデンをCEOに頂く巨大企業、の特許なのだ。使用できるのは地球合衆国政府だけ。今とのところは。

    火星連邦の弱腰政策に我慢ならない者たちがここにいた。

    「俺たちは痛めつけられてきた。あいつらだ。地球の奴らに!」演説をしているのはストルムグレンという男。背が高くがっしりとしている。でも顔つきは理知的に見えた。良い服を着てメガネでもかければ、あのでかいインテリ、と言ってもらえたろう。英語でFの言葉を連呼しているストルムグレン。

    「今の政府は地球の奴らの靴を舐めて金を得ている。そんな奴らに、いつまでも、いいようにされて君達は本当に良いのか?うんざりしているんじゃないのか?」聴衆の中には頷く者もいる。

    「俺は耐えられない。今すぐにでも奴らの頭を吹き飛ばしてやりたい。」ストルムグレンは言った。

    一体、彼らの愛国心とは何だろう?

    少なくとも、火星の現政権に向かってはいない。だって現政権を彼らは憎んでいるんだもの。

    では火星の文化を愛しているのだろうか?しかしそれは、自分たちが信じている限られた火星の文化。

    違う形のものを火星の文化と信じている者もいるのだが・・・。

    「俺たちに何を、しろって?」ヨシュアの顔にはアザがあった。警官に殴られたのだ。知らぬ、存ぜぬ、を繰り返して、こんな目に遭ったのだが、ストルムグレンは彼らに弁護