線も強力なのに、当たらないのだ。
「・・・おかしい・・・」しかし、わからないことをいくら考えていても仕方がなかった。今は次のもっと強力な怪物を作らなくてはならない。インクブス(彷徨うもの)は人間の世界に再び干渉しようとした。しかしうまくいかない。
「・・・!力が減ってるんだ!・・あの怪物を作るときかなり力を使ってしまった・・・・」悪魔といっても物理的な干渉は大変な力を消耗する。回復には地球の時間で数千年かかるだろう。
「このまま諦めるか・・」インクブス(彷徨うもの)は自問自答した。
・・・そうだ・・あの手があった・・・
彼は天使たちと同じやり方をしようとした。人間を使うのだ。神の似姿として作られただけの事は有り、実は人間には限定的だが創造する力が与えられているのだ。どう使うかは人間次第だし、無から有を作ることは出来ないが、存在している物を利用して創り出すことはできる。天使たちが作った奴が強力なのはそのためなのだ。しかし・・・
・・・それでも足りるだろうか・・・
インクブス(彷徨うもの)は早速使える人間を探し始めた。干渉できる人間がいるとは限らない。しかし今はそれしかない。奴ら(天使)になど負けてたまるものか。
嫌な女
最初の怪物出現から一週間ほど経ったある日。
「信じらんないわよねーーあの子サイテー」このセリフを吐いている吉賀はこのジョナサン水戸店のお局様だ。子供は一人。
新人の神崎はこのジョナサン水戸店に努めて1ヶ月ほど。少し高めの皿を1枚割ってしまったのだ。それそのものはミスだし良くはないだろう。しかし神崎のなんとなく上品な雰囲気が吉賀のカンに障っている為、事あるごとに嫌味攻撃をしている。
「あんなミスするなんて、一体どういうこと?」と吉賀。
吉は執拗に、すみませんのセリフを要求している。他のバイトも同じようにされているのだ。言っておくが彼女は主任でもなんでもない。ただ歳が少し上なだけの、同じ平のバイトなのだ。
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