「・・・」ヨシヒロは沈黙を察した。多方、カイトを攻撃もできるような広い場所なんだろう。無駄なミサイルとか用意して。
「こちらに向かっているそうです」中村からの連絡を漆原は湯沢に伝えた。
「ここに直接なのか?」湯沢首相は仮眠を取ったあと食事をしている最中だった。
「中村達が到着した時にはもういなかったそうです・」と漆原。
・・・まただ、多分激怒してるな・・・
「漆原くん!カイトは発見できないのか!」
「それは・・・」漆原は何も言わず監視衛星などの情報が集まる指令センターに連絡を入れた。
スクリーンに司令室が写った。
「・・カイトはこの官邸に向かっているとの情報があったが、彼を補足できていますか?」
「いえ、軽井沢上空から官邸まで監視を始めていますが・・雲が多く・・まだ補足できていません。それに・・以前の様に姿を消していると思われます。」
カイトは空を飛んでいた。カモフラージュで衛星からも偵察機からもわからない。音速は出していないが着くまでにそう時間はかからないだろう・。
「奴が直接来る。ここにミサイルを用意しろ!」
「待ってください!勝目なんてないんですよ。それに協力するためって言うじゃないですか」
「信用できるのか?お前保証できるのか?!」漆原は、ほんと嫌な人だなあと思った。
・・・いるんだ・・こういう言い方する人。カイトは信用できそうじゃん。そんな全面的にじゃなくても。・・・
漆原はカイトが自分たちを攻撃するとは思えなかった。それならとっくにしてるんじゃないか?とも思っていた。
「とにかくミサイルだ!」
「承知しました・・・」
・・・仕方がない。ミサイルランチャーぐらいは用意しよう・・・
官邸にミサイルランチャーが向かっている途中だった。突然カイトは官邸上空に現れた。カモフラージュを解いたのだ。官邸の人々は大騒ぎだ。無意味に走っている者もいた。いや・・首相に出現を知らせようとしているのか。冷静なものは無線で伝えていた。
ゆっくりと官邸の正面に着地する。
「あのう・・・俺に用があるんですよね?」誰も答えない。皆黙りこくっている。
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