近くに普通の人間はいないので、アルテミスは安心してそのセリフを口にした。
「アルテミス、今は良いですが、他の人に聞かれると、感情的な軋轢が発生するかもしれませんよ?」とオリオン。
「そうね、もちろん他の人が、いないのを分かって言っているのよ」アルテミスは怒っているふうでもなく言った。
地球合衆国と火星連合の戦争のあと、どちらの陣営も、なりふり構わず兵器研究に巨費を投じた。その中で意外なものが大変な進歩を遂げた。遺伝子操作の分野である。
ミンチン博士は手を触れずに物を動かすことができる人間を誕生させたのだ。多くは力を使うたび脳に障害を起こし実験半ばで死亡した。アルテミス達はやっとのことで完成した完成品。
「あの子供達・・たった3人。兵器としては役に立たないだろう?」でっぷりと太った国防長官は言った。元々、生物兵器などより、派手に惑星でも吹き飛ばせる兵器を望んでいる男だ。
「しかし、あの力は使いようです。特にアルテミス。
彼女は表層の意識なら読める、訓練を積んで、思考を誤魔化すことが出来るようになった人間の意識は読めませんが、その技術は誰でも習得出来る訳ではありません。彼女をスパイにすれば、例えば火星の極秘事項も知ることもできるかもしれません。」痩せて背の高い男が言った。彼は秘密警察のトップ。
この会議には地球合衆国大統領も出席していた。近く火星侵攻作戦が実施される。合衆国は今度こそ火星を全滅さるつもりなのだ。あの生意気な元植民地の奴らを。

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