
カイト(ヨシヒロ)は力でテーブルの埃を集めた。小さな丸い塊になるホコリ。そのまま少しあけた窓から埃を捨てる。そして床やTV、ちょっとした棚の上の誇りも部屋の中央に集めた。直径3センチ程のボールになる埃。
「・・・すごいねこんなボールになった・・・」ヨシヒロはそれを窓の外から捨てた。
「・・・かなりすっきりした・・・ここでずっと暮らせるかな??・・」
「・・・金はどうする??マフィアから盗むとか・・・・マジで?やばくねえ?・・
・・・バレやしないよ・・それにもしバレても勝てるでしょう??・・いや・・でも・・それは・・」カイトの意識の部分はまだ道徳的な抵抗があるようだ。
カイトは天使たちの存在と、何よりその上にいる存在のことを気にかけていた。それこそ地獄のようなところに行くことになるのではないかと。
「・・ああ・・死後の裁きかー・・そうだね確実にあるみたいだし・・なんてったって神がほんとにいるって分かっちゃったしね・・・怖いかな・・さすがに・・・でもちょっとまって・・ほんとに盗みが悪いのかな?・・・」
「ってお前・・悪いんじゃねえの??やっぱ・・」
「だって人間が決めただけじゃない??」カイトは黙った。聖書などに、いけないと書いてはある。しかし物理的に書いたのは人間だ。しかしOKという気持ちにもなれない。
「・・・まあ・・わかるよその感覚、今は感覚も共有してるから、そういう意味でもわかるけど。そうだね・・僕も実は怖いし・・じゃあどうしよう?後の案は・・政府に協力して働く。」
「・・・・それいいんじゃね??」カイトの意識にはそのプランが直接ながれこんだ。地球の警察のようなものだ。その代わりに各国は武器を全て破棄するのだ。
「武器を放棄ってのが無理だろ?・・・」
「・・そうだね、絶対捨てないよね・・・じゃあまあ破棄はしないでいい。ただ紛争を解決できなかったらカイトが出て行って・・」
「・どうすんの?」
「・・・殺しちゃえば??・・」
「・それは・・・やめとくよ・・人類全部殺さないと、いけなくなりそうじゃね?・・・」
「・・そっか・・そうかも。訳わかんない・・戦争しないでいいように、してあげようってのに・・でも多分否定されるね、このプラン。」彼らは地球の用心棒のような仕事をすることを断念した。確かに大部分の国の指導者は受け入れないだろう。
「・・・見つかるまでここにいようよ。湖には魚もいるよ・・・」カイトとヨシヒロは笑った。
「・・お金がなくては・・・」ずっと焼き魚を食べ続けるのも嫌だった。
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