そも地上からの映像はほとんどない。生き残った人のビデオ映像。そして偶然にも機材を持っていたTV関係者の動画。後は宇宙空間での出来事で結末を人類ははっきりとは知らない。
ここは日本。民家の上に浮かんでいるのだ。以前のようにテレビを透視している。
「・・特に変わったことは放送してないね。一応カイトが人類を救ったことになっててよかった・・・」
「・・・でも普通には暮らせねえよな・・・」その時テレビではアメリカの軍事基地などを破壊したのはカイトではないか、との話題に移った。
「・・・あ・・やってるじゃん・・・」アメリカが水爆を軽井沢に打ち込み、そのことでも大問題になっているのだ。死者は数百万人にのぼっている。
しかしアメリカはそのことを、ごまかそうとしているようだ。はっきりとした声明を出していない。だだ、大統領の頭がおかしくなったらしい、との噂が出ていた。
政府はまだ把握していないが、日本でも怪物によって4千万以上の犠牲者が出ていた。
「・・・・カイトのことには触れてないね・・てっきりスケープゴートにされてるのかな?って思ってたんだけど・・・」
カイトとヨシヒロは別荘地の上空をゆっくり飛んでいた。カイトとの融合で、かなり力は強まっている。南米から日本へ一気に飛ぶことはできないが、日本国内程度なら休みながら飛んでいられた。
「・・・いい感じのところがないね・・大抵人がいる感じのばっかりだ・・・」今は夏のため別荘は使用されているものが多かった。でも、かなり古びた小さな別荘を二人は見つけた。
「・・・中には使用感がまるでない・・荷物も食材も・・・あ・・冷蔵庫電気ついてないよ・・・ここでよくない?・・そうだな・・きたねえけど・・・」カイトはカモフラージュしたまま玄関先に降りた。鍵がかかっているが、開けて中に入る。
「・・透視できる範囲に人はいない・・・見られている気配もないよ・・・」ここはかなり奥にある別荘だ。道も舗装などされてはいない。
ただ場所はいい。少し歩けば湖があるし、高いところにあるからリビングからは湖がみえるだろう。
「・・景色はいいねえ・・結構掘り出し物かもね・・・」
「・・俺らのじゃねえよ?・・」カイトは笑った。
「・・・そりゃわかってるけどさ・・何年も使われてない雰囲気だよ?・・」比較的片付いている。以前使った人は一応片付けるタイプようだった。
だが飲んだあとのビール瓶が一つテーブルにある。そのほかは埃がかなり溜まっていた。ヨシヒロはそのビール瓶を台所に運んだ。宙を浮いてビール瓶が移動する。ビール瓶を動かすと埃のない丸い形を表した。
「・・・このビール瓶・・なんだろね。出かけ際に飲んで、そのままおいて行ったみたいだ・・」
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