天使の翼 悪魔の影45

「お友達の・・・カイトさんのことについてお聞きしたいことがございまして・・お邪魔してもよろしいですか?」と捜査員。

「え?家にあがるってことですか?」ヨシヒロは露骨に嫌な顔をした。

「できれば・・」捜査員は笑顔のままだ。

「警察の方も?」ヨシヒロは、後ろになんとなく控えている制服を着た警官も見ながら言った。

「いえ。私たちだけです。」捜査員は言った。彼のほかにもう一人スーツの男が居た。

「そうですか・・・まあ・・いいです。どうぞ」とヨシヒロ。

応接間のソファーに座る二人。適当にヨシヒロも腰をかけた。

「今カイトさんがどこにいらっしゃるかご存知ですか?」

「それって、そちらこそ、知ってるんじゃないんですか?あ、違いますね、爆発で、亡くなったんじゃないですか?」とヨシヒロ。

「何故、そう思われるんですか?」と捜査員は少し優しそうに言った。

「何故って・・・あんな爆発・・・テレビで見ましたよ。爆発後の光景ですが、もうメチャメチャですよね?あれで、生きてるとは思えません。」ヨシヒロは言った。

「そうですが、母親の遺体しか、発見されていないんですよ。カイトさんの遺体は、ないんです」と捜査員。

「そうなんですか。それはまあ・・良かったと言っていいのか分からないですが。その・・・カイトがやったと思ってるんですか?」とヨシヒロ。

「それは未だわかりません。調べているところです。なので、カイトさんからもお話を伺いたくて・・」捜査員はとても丁寧だ。もっと高圧的かと思っていたヨシヒロは拍子抜けした。

「もしかしたら・・こちらにいらっしゃるとか?カイトさんが。」と捜査員。

「ここに?いえ・・それはないです。僕も心配してるんです。携帯には出ないし・・もちろん連絡があったらお知らせしますよ」とヨシヒロ。

「家の中を見ていいでしょうか?」捜査員は笑顔だが、決意のようなものをヨシヒロは感じた。

「えっ!家を・・それは・・断れるんでしょうか?」

「見られてはいけないものでも?」と捜査員。

「・・・だってエロ雑誌とか放置してたらどうするんです。恥ずかしいじゃないですか?」ヨシヒロは言った。

「それは気にしません。」と捜査員。

「でしょうね。でも気にするのは僕なんですが・・・」ヨシヒロは言ったが、捜査員の笑顔は消えず、何も答えない。しかし目は真剣に見える。

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