天使の翼 悪魔の影43

小説

近所の人、と自称するオジさんが、爆発の後、空中に浮かんでいる巨人のことを必死で喋っている。マシンガントークだ。

「カイト大丈夫なのかな・・・」携帯にかけてみたがカイトはでなかった。チャンネルを変えると、違うレポーターがワシントンを遠くに望む位置から中継をしている。消滅したワシントンやモスクワの話題ばかりだ。

「どうやら・・・・・カイトという人物が例の怪物を倒している者らしいですね。」小心な秘書官、篠原が言った。

首相官邸の対策本部でカイトの家の爆発について、ヒーローの正体について話し合われていた。爆発からは母親と思われる遺体しか出ていない。そして息子とは連絡がつかなくなっている。ちょうど歩いていた通行人の証言を合わせれば、怪物はその家から現れたのだ。

「監視衛星の画像です。上空に上昇したあと、西へ飛びました。そして今の映像です。エルサレム上空です。」これはアメリカの監視衛星からの画像だ。

「何をしているんだ?」と湯沢首相。

「それは不明です。だた、30分ほどとどまっています。」

「もし移動しても追えるのか?」湯沢首相は言った。

「はい。静止衛星と、複数の衛星で捉えています。国際協力体制ができているので、それぞれの衛星画像を見ることができます。現在の画像はアメリカの衛星からのものです」

テレビ電話でその様子を見ていたアメリカの副大統領が言った。エルサレム上空の画像は勿論アメリカ側も知っている。「問題は彼よりも怪物では?」

「それはそうですが・・彼の戦い方にも問題があります。あれでは被害が大きすぎませんか?」湯沢首相が言った。

「・・・そうですね・・・では彼との接触はどうすればいいのでしょう?」と副大統領

「・・カイトには友人がいます。偵察機からの報告では一度、人間を手のひらに乗せて飛んでいたこともあります」と湯沢首相。

会議室にはアメリカのほかにイスラエル、イタリア、イギリス フランスの首脳がスクリーンに映っている。

「拡声器で直接話しかけてみては?」アメリカの副大統領が突飛なことを言った。

「拡声器で?もし攻撃してきたら?」湯沢が言った。

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