天使の翼 悪魔の影91

小説

ようだった。巨大な白いゴーヤー。

「・・・これは・・ゴーヤー・・・・」リリスが言った。

「・・こんな?犠牲を払ってこんな??・・・。」そして叫び声も何も発しない。破壊された建物の上に浮かんでいる。

「・・・何も言わない??・・・」怪獣と通信を試みているが何も応答がない。瓦礫の上に、縦に置いたかのようなゴーヤーが浮かんでいる。するとゴーヤーの表面に、横に光のスジが6本現れた。その光に沿って輪切りになり、隙間ができた。

隙間がぼおっと光ったかと思うとそこから光の輪が発射された。高い建物に当たると、輪切りにしながら広がってゆく。安定した建物は崩れずそのまま残っている。ただ真っ赤になったところからは、炎が上がっているものもある。鉄骨でできた塔のような建物は、先端部分がしばらく安定を保っていたが、じきに傾き倒れた。

「・・・動いた・・・」悪魔はつぶやいた。すると輪切りはそのまま、それぞれに飛び去った。断面はぼうっとした光を出している。七色の光は揺らめいているようだ。そこから柔らかな光が地上に降り注いだ。すると建物も道路も、人もチリになって崩れていった。

「・・・すごい能力なのではないのか?・・・」

「・・・みたいですね・・・かつてない破壊の仕方です。カイトにも有効でしょうか??・・」

「・・・我々の願いを具現化したかのようだ・・・」

世界各地にゴーヤーの輪切りは飛んでゆく。下に柔らかな光をあて全てをチリに変えながら。

月でカイトは寝転んでいた。そこへ天使達の通信が入った。

「・・・なんすか??・・・」

「・・・あ・・カイト・・また怪物が現れたんだが・・・」手もみをするかのようなミカエル。

「・・・そおっすか・」

「・・・行かないのか??・・・」とミカエル

「・・なんで??・・・」カイトはかなり不機嫌だ。

「・・・なんで?何故かは知っているだろう?・・説明させたいのか?・・」

「・・・別に・・ほっときゃ良くないですか?別に俺は生きていけるし・・・」

「・・・お前それは身勝手すぎるぞ・」

「・・・なんで?ひでーことしたのは人間っすよ?まあ俺も人間だけど・・」

「・・・攻撃は一部の邪悪な者たちだけだ・・大部分はまあまあ善良なのだ。日和見なだけで・・・」

「・・それは、そおっすけど・・」カイトも一部の者たちがしたことはわかっていた。しかし意識では人間、ひいては人類への憎しみ、という形になってしまっている。

「・・・なんかなあ・・もう嫌なんすよ。何もかも・・」

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