「見るのは人がいるかどうかだけですよね。ええっと。でも、お断りしたいんですが・・」駄目もとでヨシヒロは言った。
「:::(ヨシヒロの苗字)さん。断ることはできないんですよ・・・すみません。外にいる警官に来てもらうことになってしまうんです。」捜査員はうっすらと脅しているようだ。
「だって任意なんですよね?」とヨシヒロ。
「形だけは」と捜査員。
「怖いですね」とヨシヒロ。
捜査員は真顔になって言った。「カイトさんは怪物の一つ・・一人だったんですよ。ご存知でしたか?」
「でも人類を助けてる・・」ヨシヒロは知っていたかどうかの質問には答えなかった。
「そうです。しかし怪物のことは、ほとんど何もわかっていません。でもカイトさんとなら話すことができます。我々はカイトさんを傷つけたりはいたしません。少しでも情報が欲しいんです。まだはっきりとはしていませんが世界で数千万人亡くなった可能性があります。今は非常時なんです。そして、そんなにひどくないけれど、核の冬のような状態になっています。巨大な爆発があったためです。とにかく今は情報が欲しい」捜査員は率直に言った。
「まあ・・いいですよ見て回っても・・」ヨシヒロは渋々受け入れた。そんなことを言われてはヨシヒロは断れない。こういう言い方は苦手だった。
「ありがとうございます・・」そういうと二人の男は家の中を見て回り始めた。特に話はしなかった。ただ黙々と、例えエロ雑誌が置いてあっても気にもとめないふうで。
・・・でも小さなことも見逃さないんだろう。・・・・ヨシヒロはそう思いながら彼らについて回っていた。
「ありがとうございます。どうやらいらっしゃらないようですね。」と捜査員。
「ええ、そうですよ。嘘ついてないです」とヨシヒロは言ったが、彼らはそこには答えず、
「もし連絡があったら我々にも教えてください」そう言って名刺を差し出した。
「決してカイトさんを傷つけたりしません。ただ我々の生存がかかっているかもしれないんです。」と捜査員。
「そう・・・ですね・・連絡します・・」ヨシヒロは、連絡するつもりは、今はなかった。カイトに会わせて話を聞いたところで、何か解決するとは思えなかったからだ。
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