地を見てみたい衝動が彼にはあった。
「まだやばいんじゃねえの?軍隊がいるだろう?偵察機ぐらい飛んでそうじゃねえ?」とカイト。
「そうだね・・そうか・・・ここもやばいんじゃ」ヨシヒロはあたりを見渡した。そして当たり前だが上も見た。暗くてわからない。はっきりとは。でも何か黒いものが見えたような気がした。
「ねえ・・何かがいた気がする・・」とヨシヒロ。
「まじで?」カイトは何も言わず急加速し、そのまま北のほうへ向かった。今カイトは直立した姿勢でいる。上を見ると確かに小さく飛行機のようなものが見える。
「やべえ、絶対気づかれてる・・ヨシヒロ、スピード出すぞ」とカイト。
「移動を始めました。気づかれた模様です。」カイトはヨシヒロが吹き飛ばされないように右手でおおった。そして速度を上げた。偵察機よりはるかに強い加速のため偵察機をみるみる引き離してゆく。月が出ていなくてよかった。偵察機はレーダーに頼らなければならないほどに、カイトとの距離は開いた。
「あの飛行機おせえ。かなり引き離したぜ。お前、金持ってる?」とカイト。
「何で?」
「どっかで降りようと思う、で、電車で帰ろうぜ?このまま家に帰るのは何か不安だ。今は衛星とかあるじゃん。」カイトは言った。
「ええ!今そんなにないよ。まあ・・カードならあるけど・・・電車か・・・しょうがないね。でもさ、駅のそばには降りれないでしょう?」とヨシヒロ。
「今探してるんだよ。暗くて人目につかないところで、でも近くに明るい場所があるような感じとこをね。」とカイト。
「わかるの?そんなの・・・だいたい今どの辺りなのかもわからない・・」ヨシヒロは不安げ。
「俺!なんとなくわかるぜ!」こういう時のカイトは子供のように鼻をふくらませて胸を張るのだ、もし巨人でなかったなら。
「そこってそんな誇るところじゃないけどね。そういうところがよく分からない」カイトが突然いい気になるの所はイラついてしまうヨシヒロ。
「あははは」
能天気な笑いにヨシヒロは更にむっとして黙った。
コメント