天使の翼 悪魔の影97

などなかったのだ。不安と同時に、勝てるような気がしていたことにも気づいた。甘かったのだ。

・・・やっぱ天使が味方だからって、何の役にも立たなかったのか・・・俺甘かったな・・・

「・・・カイト・・・カイト・・・」聞き覚えのある声がした。

「・・・何だ?ヨシヒロ??・・・」

「・・・良かった。やっと通じた。今は急ぐから要件だけ・・僕の意識と融合してよ。助けるにはそれが必要なんだ。君が受け入れてくれなければ、できないんだ。・・・」

「・・助ける?なんでもいいからやってくれ・・追いつかれそうだ・・・」ヨシヒロはすぐ実行した。二人の意識がある程度混じってゆく。記憶をお互いに知ることになる。全てではないが隠しておきたい恥ずかしい記憶も。

「・・・お前こんなこと考えてたのか??・・」

「・・・カイトだって。ちょっとその考えはどうかと思うよ・・・」そんなことを言っているそばから、ヨシヒロは、お得意の内部への攻撃を実行した。

輪切りの怪物の中にある、脳と思われる臓器を焼き始める。怪物は何も叫ばない。しかし、のたうちまわるようにジグザグに飛び始めた。同時にほかの五つの輪切りの脳も焼き始めるヨシヒロ。再生をしているが、追いついていない。

「・・・カイト、力をもっと使わせてもらうよ・・再生を上回る速度で焼かないといけないから・・・」

「・・・あ、ああ、構わねえよ・・焼いちまえ・・・」もはや逃げる必要はないようだ。

怪物はめちゃめちゃな方向へ飛んでいる。しかしだんだんと動きが鈍くなっていった。中が焼き尽くされ、表面に青白い光が漏れてきている。なおも力を加え続けるヨシヒロ。そして、力が届く範囲を怪物が出ないように、その場所に怪物を押さえ込んだ。もはや振り切る力は怪物に残っていない。温度は1万5千度ほどだろうか。青白い光は、外に広がってゆく。酸素がないため燃えないが、灰になってゆくようだ。

「・・・もうすぐ全部灰になる・・・でも脳は人間のものにそっくりだね。あと心臓も。他の臓器は全く人とは違うのに・・・・」

「・・スゲエなお前のちから・・・内部からやられたらどうしようもねーしなー・・」

「・・・ヨシヒロ!!何故お前が!・・」ミカエルが割って入った。

「・・・頼んだんです。多分あなたより上位?の天使に。・・・」

「・・・上位の!!!!?・・ほんとに!!・・」

「・・・ミカエル様・・・驚きすぎです。・・・いらっしゃるでしょう?我々の上司が・・・」ガブリエルは呆れ気味に言った。

「・・・いや・・しかし・・一介の人間が??・・・」

コメント

タイトルとURLをコピーしました