しかし二人は動かなかった。
「いや・・いいだろう、ヨシヒロは監視されていることは気づいているし、俺らが気になっただけだろう。」先輩風の男が言った。
・・・来ないみたいだ・・・カーテンを閉めたのでヨシヒロは心おきなく力を使えた。冷蔵庫がひとりでに開き、お茶のペットボトルが、誰の手も触れていないのに宙を移動している。カレーピラフと餃子とペットボトルなどが宙に浮いたままヨシヒロと共にカイトの部屋に向かっている。
「お待たせー」小さなテーブルに箸や醤油皿などもカレーピラフと共に着地する。
「お、うまそースゲエ、ギョーザだ!!」
「好きでしょう、餃子。僕も好きだけどね。まあ食べてよ。」ヨシヒロは言った。
「いただきます。」
「リビングにも出られるよ。あ、カーテン閉めたから」
「見張りは大丈夫なのかよ?」とカイト
「透視したけど大丈夫だったよ。一瞬怪しんだけど来るのやめた。」
「お前今も透視できるんだもんな。俺は今なんもできねー」言いながらカイトはスプーンでピラフを口に運ぶ。
「・・これからどうしよう。日本から出て行かなきゃいけないのかな・・」
「何で?」口に含んだままカイトが言う。
「・・・だって・・この場所は知られてるし、暗殺者が来たらどうする?ここを核攻撃されたら?カイトは大丈夫でも僕は死んじゃう。」
「そっか・・・」カイトは餃子を口にいれそのままつぶやいた。
「そうだよな・・・お前は核攻撃には耐えられない・・・」
「先手を打とうかな・・・」ヨシヒロはふとつぶやいた。
「先手って?」カイトが言った。
「だから先手。こっちから攻撃してはいかがでしょう?もう敵みたいなもんじゃない?政府って。だから湯沢とかをカイトが殺しちゃえば?」ヨシヒロがサラっと言った。
「ええ・・それはちょっとーーーどうだろう?」カイトはニヤニヤとしながら言った。
「・・・カイトたちを憎むのだ・・・」リリスはアメリカの指導者、今は副大統領だがそれに影響を与えようとしていた。操ることはできないが、そそのかしているのだ。初めはダメ元だった。副大統領とは波長が合っていないのだ。そのはずなのだが、副大統領の心にカイトへの憎しみが膨れあがった。
「・・・何と!干渉できるではないか!・・・」悪魔は驚いた。
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