「いいところに目をつけましたね・あの男」リリスが言う。
「そうだろうか・・・人間の時にダメージを受ければ変身するだけでは??・・やつの母親は包丁で刺したが、すぐ変身してしまったぞ」
「・・あ、そうですね・・・」
「・・お前は・・ほんとに・・」悪魔は呆れたように言った。
カイト達は首相官邸には戻らなかった。怪物の光線で、すでに大阪や京都などは破壊されていたが、戦いでの死傷者がでてしまったかもしれない、もしかしたらそのことを責められると思ったためだ。カモフラージュをしたまま山のなかに降り立った。透明のカイトが枝を降りながら着陸してゆく。バキバキと枝が折れる音がして数本木が倒れた。
山の中で二人は話していた。
「カイトは変身したままなら寒さも何も大丈夫じゃない?」
「変身してる時なら大丈夫だよ。でも何日も変身し続けたままだと、どうなんのかわかんねえよ。」カイトは言った。
「そっか・・わかんないか・・僕は今、力で体表面を適温にしてるし、さっき湧水も飲めたから大丈夫。細菌とか寄生虫とかいないのが何故かわかったし。」ヨシヒロはカイトの顔の前に浮かんでいる。しかし二人共カモフラージュを使っている為見えない。
カイトは木々を押し倒してあぐらをかいているから、上空から見ると、何もないのに木が倒れている奇妙な光景になってしまっている。
「便利だなーお前、ある意味俺より便利だよな」
「だね。なにか食べたいならコンビニから盗んでくるよ。山を降りたところに町があるじゃん。コンビニくらいあるでしょ」ヨシヒロのモラルはどうなってしまったのか?
「ああ・・それはまだいいよ。腹減ってねえし。」
「そお・・でもテレビが見たいね。どんな感じなんだろう?世論て・・やっぱり街に降りてくるよ。家のTVを透視してみる。それで政府のところに行くか決めよう」
「あ、俺も行くよ」
「?変身したまま、だよね?」
「そうだよ」何で?と言わんばかりにカイトが言う。
「まあそれなら大丈夫だけど・・・」
「暇だしさーー」
「じゃ、行きますか?」
「おう!!」二人は浮き上がりカモフラージュをしたまま麓の街に向かっていった。
1件目の家でテレビはついていた。ほとんどチャンネルが怪物関連だ。
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