・・・このぐらいの高度だとまだ下から見えちゃうかな・・・中には気づく人もいるかもしれない。しかしこの状況だ。もう人間が飛んでいても誰も不思議に思わないだろう。
「カモフラージュって出来ないかな・・」ヨシヒロはカイトも使ったような、光がヨシヒロを迂回して進むような方法を試そうとした。
・・・光を曲げて・・・するとヨシヒロは急降下した。
「わ、わ、わ、わ・・・」パニクりそうなのを抑えて落下を止めるヨシヒロ。
「やばい・・これは地上でじっくりやろう・・」まだ飛びながら光を曲げるなんてことは早かったのだ。
駅前の駐車場にこっそりと降りる。そして試しに車を浮かせてみた。比較的簡単に車は浮き上がった。
「こんな感じか・・・抵抗は感じるんだ・・疲れのような・・」次にもっと重そうなバンに挑戦してみる。
・・お!結構辛いかも・・これは・・・これ以上は無理なのかな・・・じゃあ・・このまま僕も浮いてみよう・・・車とヨシヒロは二mほど空中に浮き上がった。
・・・そうかこんな感じか・・・あたりを見渡す。今は誰も駐車場にはいない。面白くなってきた彼は、もっと上昇してみた。バンと一緒にそのまま20mほどの高さに浮かんでいる。
・・・人にみられたら・・大変だ・・ふと右斜め後ろを見ると呆然と空中のヨシヒロとバンを見上げる親子連れが見えた。モールで買ったのか沢山の袋を持っている。
「あ、やばい・・・」途中までほどんど落下するようにバンを下ろして、地上から2mほどのところからゆっくりと地上に着地させた。彼は地上に降りずそのまま飛びさった。
「結構楽しいな。慣れてきた。」彼はどんどんスピードを上げた。地上の景色の移動も速くなってゆく。かなりのスピードに達した。時速80キロほどだろうか。彼は少し苦しくなってきた。
・・風を防いでみよう・・さっきのことが少し不安だったが、できるような気がしていた。じょじょに風が弱くなってゆく。さらにスピードをあげる。
「このまま飛んでいこうか?・・でもなんだか疲れのようなものを感じる・・」気のせいではない。疲れのようなものはどんどんひどくなってゆく。
「そうか・・力には限界が・・・当たり前か・・・」ヨシヒロはスピードと高度を下げた。
「クラクラする・・」地上に降り、休むヨシヒロ。
「あまり距離は飛べないんだな・・」しばらく休んでから、ヨシヒロはカイトがやっていたカモフラージュを試してみた。徐々にヨシヒロを迂回する光。そして外から見てもヨシヒロが見えなくなった。
・・・なんとか出来るな・・ちょっと集中しないとダメみたいだけど・・・
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