降りてゆけばバレバレだった。いつもの雑木林にも降りる気にはなれなかった。もしかしたら狙われているかもしれない。彼は別の場所に雑木林があるか探した。
すると・・・いつものところより遠いが結構いい感じの雑木林があった。まわりは畑だ。あそこなら歩いて帰れるだろうし、今は車も見えない。カイトはそこにさっと降りて変身をとこうと決めた。が、しかし、降りようとした時思い出した。
「だめだ・・・俺パンツのままじゃん・・・」カイトはパンツのまま寝ていた。不思議なことだが服は変身しても破れない。変身を解くともとの服なのだ。パンツとタンクトップでヨシヒロの家まで多分12、3キロを歩く気にはなれなかった。
「やっぱ夜まで待つしかねえ・・・」カイトはそのまま上昇した。大気圏を超え上空500キロ程のところでぽつんと浮かんでいる。ここなら偵察機より上だし、衛星のことも考えないでいいだろう。宇宙ゴミがあたっても痛くもない。
眩しい太陽と、星。地球はテレビで見たとおり美しかった。
「本物のヒーローなら守らなくちゃ、とか思うのかな・・」カイトはふと思った。が思い直した。
「そんなことねえな・・・」カイトは言った。
しばらく、ぼおっとしていると退屈で仕方なくなった。夜の側に行ってみようと思い立ったカイトは夜の方へ飛び始めた。眼下にはうっすらと国の形さえ分かるほどの明かりがあった。
「・・・なんとなくわかるな・・・」とカイト。何故か自分がどの辺りに居るのか分かった。
「・・・カイト、大変だったな・・・」話しかけるミカエル。
「・・何で教えてくれなかったんだよ・・・」怒りがこみ上げるカイト。
「・・・悪魔に邪魔されていたのだ。しかしお母さんは気の毒だった・・・」とミカエル。
「・・まあ、それはどおでもいいんだけどさ・・・」あっさりとカイトは言った。
「・・・そおなのか?・・・ならいいが・・・我々もなんとか知らせようとしたのだが・・うまくいかなくてな・・・これからどうするつもりだ?・・」とミカエル。
「・・・あの辺に行ってみようと思うんだよね・・・」カイトが指さしたのは地中海のはしの方だった。
「・・・中近東か?・・・」ミカエルはもしやと思った。
「・・・そう。エルサレムの上にちょっと浮いてみようかなと・・・」とカイト。
「・・・まあ・・いいが・・何故エルサレムなのだ?・・・」ミカエルは興味があるのをあえて隠していった。しかし内心興味津々だ。
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