天使の翼 悪魔の影30

「しかし東京で使われた原爆は全く効かなかったのだろう?」副大統領は言った。

「それは、そうですが。あれは規模の小さな核です。もっと強力なものを使用します」と国防長官。

「・・しかし・・・」副大統領は自分の決断で人が死ぬことに躊躇していた。

「お、あれかー。」幾つものキノコ雲が混じって数十キロに渡る煙の山の中にキャスリーンはいた。中心ではまだ光線を出している。カイトはその煙の中を透視した。

「スゲー透視能力まである」カイトはそのまま雲の中に突っ込んだ。みるみるキャスリーンが近づいてくる。

・・・ケリを入れるか・・どうする?・・・カイトは瞬間迷った。以前のように超音速で痛い思いはしたくなかった。

「キャスリーンはエネルギーを使い過ぎたようですね。光線の威力が落ちているようです・・・」とガブリエル。異次元で天使達はキャスリーンを見ていた。

「何故人間の命名で言うのだ?」ミカエルが言った。

「便利かと思いまして。怪物二号?にしますか?」とガブリエル。

「いや・・まあキャスリーンでいい。しかしだ・・威力が落ちたとは言え、あれだけの爆発だ。被害はとんでもない。ざっと2800万人が死んでいるのだぞ?しかしまだ余力があるのか・・やはり元人間は性能がいいな・・・」とミカエル。

・・・あいつ気づいてねえのかな?・・・キャスリーンはカイトの接近に気づいていないふりをしているのかもしれない。このまま近づきたくないと思ったカイトは近づくのをやめ指を刺した。指先から発射される閃光はキャスリーンの体のど真ん中に命中した。

天使たちは別次元から戦いを見守っている。それと同じように悪魔も戦いを見ていた。彼は必死にキャスリーンと話をしようとしていたが全く通じないのだ。いや、通信そのものは生きている。しかし帰ってくるのが、グギャー、とか、ガー、とか、人の意識ではないのだ。もはや人格は失われてしまっているらしかった。いくらなんでもキャスリーンが力を使いすぎであることは悪魔も気づいていた。もう少し力をセーブしないと自分を防御する力が弱まってしまう。

・・・一体何故だ?天使が作った怪物は人間の知性をそのまま残しているのに、私の作ったものは衝動でただ動いているだけに見える・・・・悪魔は今まで、ただ人類を破壊すれば良いとしか考えていなかったから、そんなことが問題だ


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