「・・・すぐ行かないんですね・・・他の人間が死んでいるのに・・」ガブリエルは少し呆れている。
「・・まだ実感がないのかもしれんな・・それに使命感などないだろう・・・突然押し付けられて・・それも致し方ないな・・・」とミカエル。
天使たちの意識には、タコのような足から光線を出し、街を破壊している怪物の画像が浮かんでいる。
「・・奴は威力が強まっていませんか?・・」怪訝な顔でガブリエルは言った。
「・・・そのようだ・・・人間を使うことにしたらしいな。それが一番効率的なことに気づいてしまったか・・・」ミカエルは言った。
前の怪物より光線が当たった場所の爆発は大きくなっている。水戸市は既に壊滅状態になっていた。怪物発生場所が駅の近くのジョナサンだからだ。瓦礫にも火がつき半径数キロにわたって既に火の海となっている。
なおも怪物はタコの触手を持ち上げ、遠いところにも光線を発射していた。
「・・・カイト・・・そろそろ起きろ・・・」ミカエルは話しかけた。
「・・・んんん・・うるせえ・・・」カイトは寝起きが悪い。
「・・・いいのか?お前しか助けることはできないのだぞ・・・」とミカエル。
「誰も知らねえもん・・俺のこと・・」とカイトは言った。
「・・お前は・・・使命感はないのか?同胞が殺されているんだぞ・・・」とミカエル。
「じゃあアンタラがやってよ。天使なんだろ?いきなりヒーローとか無理でしょ・・」とカイト。
「・・・・それはそうだろうが・・・」ミカエルは内心むっとしている。
「・・・・やはりもう一人を探したほうがいいかもしれませんね・・・」とガブリエル。
「・・・しかし・・あの後もチラッと探したが・・反応は全くないのだぞ・・・」とミカエル。
そうこうしている間に怪物は飛び上がった。加速し、太平洋に向かっている。時々叫びのような鳴き声を発している。上空から地上へ光線を発射しながら。光のナイフが地面に爆発を引き起こしていた。
アメリカでも怪物出現は大統領に報告されていた。
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