天使の翼 悪魔の影26

小説

「・・意外とカイトはイケルかもしれんな・・・ほかに選択肢がなかっただけだが、面白いものだ・・・」ミカエルは意外な結果に満足なようだ。

「・・主のお考えのとおりなのでしょうね?カイトしかいなかったのは・・」ガブリエルはふとつぶやいた。

「・・・今更何を言うのだ。・・決まっているだろう・・カイトの件は主のご意志なのだ・多分・・もしかしたらだが、我々にも自由意思などないのかもしれないな・・・自分で選んだつもりでも、それも決まっていたのだろうか?」ミカエルは独り言のように言った。

爆発して巨大化した吉賀はもはや破壊することしかないようだ。まどろんだ意識の中、ただ破壊したい。暴れたい、それだけしかない存在になった。怪物はまた街を破壊し始めた。

「どうして日本ばかりなんだ!」湯沢首相は連絡を受け怒鳴った。不運にもこの国に二度目の怪物なのだ。

・・・この人、疫病神?・・・ついてゆくのはヤバイかな・・・秘書官漆原は思った。漆原は小心だが保身への情熱は尋常ではない男だ。

カイトは寝ていた。新幹線で仙台へ帰り、ヨシヒロの車の回収に付き合って、またニートの日々を一週間ほど過ごしていた。電話の音で起されるカイト。

「・・・俺だけど・・」とカイト。

「また怪物がでたって、今度は水戸だよ。」ヨシヒロの声は弾んでいる。楽しいのだ。

「・・・ん・・あーー」とカイト。

「ごめん寝てた?」とヨシヒロは言った。

「うん・・」

「あれ?行かないでいいの?」ヨシヒロは言った。

「ん・・・どこへ・・・」カイトは自分が使命を持っているなんて思ってもいない。

「あ、だから怪物の所。」とヨシヒロ。

「ああ・・いくよ・・でも、めんどくせえ・・・」カイトはベッドから出ようとはしないで言った。

「まあ、無理に行くことはないと思うけどさー。じゃあもうちょっと寝てからにしたら。」とヨシヒロ。

「ん・・・」

「じゃあね」ヨシヒロは電話を切った。

それを見ている天使たち。

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