天使の翼 悪魔の影25

「すみません」神崎はただ恐縮し誤った。もう店長から注意され、この話は終わっているのだが彼女にとって自分が上に立つ事は何より大事なのだ。そして彼女の話す能力はスゴイ。エリア部長の様な上司が来れば、それはもう、いい人の様に振る舞えるのだ。

「まあ、神崎さんはお金持ちだからー弁償なんて平気なんでしょー」と吉賀。顔はまるで自分の物を傷つけられたかのような形相だ。

「すみません・・・」神崎は仕方なくまた言った。

神崎を制すれば、女性全員を従えたことになる。数日前、吉賀は自分を嫌っている、ある女の値の張るボールペンをこっそり捨てた。皆協力して探したが見つからない。その時言ったセリフが

「盗まれたんじゃなーーい?」と吉賀。

他の者はうっすら気づいた。この女が盗んだ?しかし証拠はない。それ以来、その女は吉賀の軍門に下ったのだ。

・・・なんだこの女は、性格悪いな・・・しかし・・・この女しか手を加えることはできない・・・・まあ私にはふさわしいか・・私は悪魔だしな・・とインクブス。

そう思うと、インクブスは吉賀に力を加えた。すると、吉賀の形相がますます酷くなった。ものすごい形相だ。尋常ではない。これは・・特殊メイクか?と思うほどだ。神崎は怖くなった。彼女が叫ぶ前に、吉賀は叫び声を上げた。

「ぎいやあああーーー、ぐわああああ」

近くでうっすら聞いていた者たちは皆吉賀を見た。そしてその瞬間、彼女は爆発した。店も客も全て吹き飛ばし光の中から現れた怪物。それはタコのような足とムカデの様な体と頭をもつ気持ちの悪いものだった。

「・・・!怪物が!・・」とガブリエル。

「・・ああ、インクブス、だな。また怪物を作ったんだろう。まだ力は残っているのだな・・・」

ミカエルは言った。

「・・・あと何体作れるのでしょうか・・・?」とガブリエル。

「・・それは分からないが100体、とかではないだろうな・・・」とミカエルは言った。

「・・・それは・・そうでしょうが・・・」ガブリエルは、そういうことではなく、と思った。

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