シヒロは言った。
「へえ。まあそうだよなー俺のおふくろみたいなもんかーー」カイトは言った。彼は事ある毎に母の悪口を言う。憎くてたまらないのだ。自分を侮辱し続ける女。
「あー仲悪いもんね。でもさーお母さんに話すの?このことを。」とヨシヒロ。
「話さねーよ。話すわけないじゃん。何であいつに。バカ呼ばわりされるだけじゃん。俺殴るかも知んねーよ。」とカイト。
「ああ、そうだね。まあ、じゃあ話さないでいいんじゃない。親子だからって仲がいいわけじゃないからね。」そういうヨシヒロもあまり親とは仲が良くなかった。今は二人共亡くなり兄弟もいないため一人で暮らしている。
今は新月だ。空には星だけ。これなら多分地上からはわからないだろう。このあたりは新宿などとは違い、地上の光はそんなに強くない。地上はポツポツと見えるガソリンスタンドやパチンコ屋の光と、街頭と、道路を走る車のライトだけだ。後は真っ暗闇。
「星空が綺麗だ」今ヨシヒロはカイトの手のひらの上に仰向けに寝ている。
「ホントだ」カイトは少し上を向いた。
ほとんど直立しているような状態のまま飛んでいる。
「どのくらい飛んでるつもりだったの?僕は後少し飛んでいたくなったよ。」とヨシヒロ。
「いいよ。好きなだけ飛んでやるよ。」とカイトは言った。
「って言ってもそんな一晩中じゃないよ?」とヨシヒロ。
「それは分かってるよ」カイトは言った。
「今どこへ向かってるの?」
「一応東京。」
「そうなんだ・・・どのくらいかかるんだろう?あのさ、東京の方向が何故わかるの?」ヨシヒロは不思議に思った。
「それなんだよ。何となく分かるようになったんだ。変身しないとダメだけどな」とカイト。
「便利だね、でも仙台から大体500キロくらいかな?多分、で今時速何キロくらいなのかなあ?」ヨシヒロは言った。
「わかんねえ。ただ音速を超えたぜ、前戦った時。」とカイト。
「ホントに?超音速?」とヨシヒロ。
時々ネコが落ちている
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