えの?と言わんばかり。
雑木林を出たあたりで、やじうまに出会った。カイトは自分も、やじうまの様に辺りをキョロキョロしながら、なんとなく戻ってみたりした。
「飛んできた怪物見ましたか?」カイトの方から話しかけた。
「見たよお、んで追ってきたんだ。変だなあ、このあたりに降りたんだけどなあ。」野球帽をかぶった60代くらいの男性だ。
「ですよね。俺もそれで来たんすよ。」とカイト。
「あんた見つけたかい?」野球帽の男が言った。
「俺も来たばっかりで・・・でもいないっすよ」嘘をつくカイト。
「なんでだろなあ・・・どーこいったんだ」
「そおっすねえ・・」そんなことを言いながらカイトは歩いてゆく。遠ざかってゆく野球帽の男。しかしカイトの事など気にも留めていないようだ。
そして広い道へ出た。ここはなんとなくわかる場所だ。
「かなり遠いな。歩いて30分位か・・」ここは自転車で来たことはある。この道をまっすぐ行けばカイトの家の近くに行ける。
「あ、そうだ」カイトは携帯を取り出し友達のヨシヒロに電話した。
「あ、ヨシヒロ?俺だけど」
「どしたの?僕今テレビ見てる」とヨシヒロ。
「怪物のやつだろ?」カイトは言った。
「そうだよ。今すごいじゃん。東京大変だよ。」ヨシヒロが言った。
カイトは自分がサンダルフォンを倒したことを話したくて仕方なかった。
「速報が出てさ。サンダルフォンとは違う、もう一つの怪物がでて、こっちの方へ飛んできたんでしょう?それで今は消えちゃったみたいだけど。」何も知らないヨシヒロ。
「ああ俺その辺にいるんだよ」カイトが言った。
「?何で?そんなとこに?」とヨシヒロ。
「ちょっと散歩しててさ。たまたま見かけてさ」カイトはなんとなく嘘をついた。電話で話しても信じてもらえなさそうだし、説明にも自信がなかった。
「珍しいね!家を出たんだ!どうしたの?」ヨシヒロは少し驚いた。カイトが外に出るなんて。
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