既にカイトの思い浮かべる、透き通った海と熱帯魚のイメージはヨシヒロと共有されていた。
「・・でもどこの島?・・・」早速カイトたちは天使に問いかけた。
「・・・どっかいい島無いすか?南の方で・・・」
「・・・それは日本から見て南ということか・・・お前たちは私を便利屋とでも思っているのか?・・・」ミカエルは面白くない。
「・・・でも助けてくれるんでしょ?・・・」カイトヨシヒロの意識が言った。
「・・・それは・・まあ・・そのくらいは簡単だが・・・」赤道に近く、太平洋にある小さな島。それが映像のなかに示された。近くには大きな島はなく、人はいない。誰にも関心を持たれていないであろう島が示された。
「・・・ここならいいだろう・・・もちろん無人島だ。港もない・・・」
「・・・そんなに時間はかかんねえし・・明日行ってみようぜ・・・」カイトは小学五年生のような笑顔を浮かべた。傍から見れば一人で笑っている。
「・・・まあいいけど・・・暮らすのはちょっと・・・」
「・・・いいじゃん!様子見だよ様子見!・・・いいとこかもしんねーよー!」
「・・・ああ、分かったよ。体は君のものだし・・・でもそういうところは融合してないんだね・僕たち・・・」
太平洋にある小さな島。例の別荘にある冷蔵庫の食料はそのままに、翌日カイトはその島にいた。
「・・・ここはいいなあ・・電気がなくてもずっとここでもよくねえ?・・・」
「・・・いいところだとは思う・・でも食べ物はどうするの?魚ばっかり??・そうなるかな・あとはなんか動物とか焼いて食う?・・・」
カイトは海の上に浮かび、透けて見える熱帯魚を眺めている。おもむろに服を脱ぎ素っ裸で海に入る。服は海の上に浮かんでいた。カイトは自分の体表面を守る力を解除した。今は海水に皮膚が触れている。力で体表面を守っていないのだ。泳ぐことが気持ちいい。カイトはそのまま潜った。カイトから逃げてゆく熱帯魚。しかし少し逃げるだけだ。まだきびすを返しその辺りをうろついている。目の前には太陽に照らされたサンゴと熱帯魚。
息継ぎのために海面に浮上するカイト。
「気持ちイーなー」思わず声に出す。
「・・・僕はたまには美味しいものが食べたいけど、基本ここにいるって感じでオーケーだよ・・・でもさ・・・しばらく泳いだら日本に帰ろう。とりあえず、買った・・・いや・手に入れた食料を片付けないともったいないよ・・・」
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