月: 2025年4月

  • 天使の翼 悪魔の影108

    ・・ああ・・これは例の・・ことごとく怪物を倒した、カイト、か・・・しばらく悪霊は見つめていた。

    「・・・カイト・・何かが見てる・・強く認識してる・・・」

    「・・・おや?・・気づいた・・そんなに強く意識したかな・・・」悪霊は少しだけ驚いた。別にしばらくしたら立ち去るつもりだったのだが、つい見つめてしまったのだ。

    「・・・ああ、俺もわかった・・なんだ?この感じ・・今まで感じたことないぜ・・見られてるなんて気づいたことない・・・」

    「・・・こんにちは、私はパズズ、聞いたことある?人間的に言えばそんな名前だ・・・」

    「・・・あります。何かの神話の風の悪霊?あなたは悪魔?・・・」

    「・・・そんなところだ・・・実はそんなに区分けはないんだがね・・」

    「・・・何か用ですか?・・」ヨシヒロが主に話している。カイトはこういうことは苦手だ。

    「・・・融合か・・面白いですね、こんなに早く、そんなことが許されるとは・・いや、別に何をしようというわけではないのですよ、ただ散歩?のようなことをしていただけです。・・」

    ヨシヒロは警戒していた。言っていることを鵜呑みにはできない。

    「・・・多分もっと上位の天使が許可したのでしょう?・・あなたがたの融合は。・・・」

    「・・・それはミカエルも言ってましたよ。もっと上位の型なんですねあの方・・」ヨシヒロ優勢の意識が言った。

    「・・直接見たのですか?・・・」

    「・・いいえ・・ただの光でした。意思は伝わってきましたが、半分まどろんでしまって・・・・」

    「・・・そうでしょうね。人間の認識力のままでは耐えられない・・・私も会ったことはない・・気配のような・・・そんな感じならありますがね・・・」ヨシヒロは何故そんなことを話すのだろうと思った。

    「・・・・大丈夫か?何か企んでんじゃねえの?。・・・うん・・分かってるよ・・そうかもしれない・・・」

    「・・そんなに警戒しなくても・・・・カイト君は心配してるの?・・・」

    「・・心が読めるんですか?・・・」

    「・・いや・・読めませんよ・・そんな感じかなって思ってね・・・疑うのも無理はない・・悪魔の一味ですもんね・・・」その悪霊は上位の天使に興味があったのだ。

    彼も直接会ったことがない上位の天使。悪魔と角付き合わせているミカエルなどとは違う。そして人間なのにそれと合うことができたヨシヒロにも興味があった。

    ・・・彼らをしばらく観察しよう・・どのみち暇だしな・・・

  • 天使の翼 悪魔の影107

    「ああ分かったよ、でもまだいてーなー・・」カイトは海の上を移動し、砂浜に着地し、そのまま大の字で寝転んだ。

    「・・・人がいたらできねーよ。すげー気持ちいい・・・まあ何故だか僕も気持ちいいが・・何故そう感じるんだろうね?普段脱いじゃダメなところところで脱ぐと・・・・・俺らが変態だからだろ?」カイトは笑った。

    「・・・やっぱり・・・そうなのかな・・それはそうと・・・怪物は現れないね・・どうしたんだろう?」

    「・・・まだそんな経ってねえよな?最後の奴が現れてから、また来んじゃねーの?・・」

    「・・・やっぱり戦う?。・・・そりゃあ一応戦うけどさ。・・戦わねーの?・・あんまり戦う気になれないな。・・・だってこんな暮らしだよ?結局・・・評価されてない。・・・そりゃあそうとも言えるけどさ・・・どっかの国が用心棒として雇ってくんねえかな?・・

    ・・・あ!それいいかもね・・でもどこだろう?変な国はやだな・・・。

    国連は?そこならいいんじゃねえの?で、ならず者がいたら俺が退治すればいいじゃん・・・・国連か・・そうだね・・どっか特定の国だけを守るのはまずいから・・国連決議に従うって伝えるのはどう?・・・・・国連決議?あ、ああ、まあそうだな、そう言おう・・・で?いつ行く?・・今はやめとこーぜ、焦ることねえし。・・・それは僕もそう思ってたよ。今は行きたくない。こんな綺麗な所だし、もっといようよ・・・それにこれって前話したよね?」

    カイトはすぐには動かなかった。今は面倒な交渉などする気にはなれないのだ。

    「・・・国連か・・・どうだろな・・彼らは受け入れないだろう・・」ミカエルは言った。

    「・・・何故です?戦争がなくなるかもしれませんよ?」ガブリエルが言った。

    「・・・逆らうものを滅ぼしてか?・・」

    「・・逆らうでしょうか?・・・」

    「・・もちろん逆らうだろう・・・素直に従う国などは少ない・・・結局戦争になる・・多分な・・・」

    天使たちは危惧していた。カイトが皇帝のような状態になるのは本意ではない。そこまで行ってしまっては天使も罰を受けるかもしれない。やりすぎなのだ。ミカエルはそれを恐れていた。

     

    例の、はぐれものの悪霊は彷徨っていた。彼は一切力を貸していないため、実は悪魔よりたくさんの力を今は持っていた。

    ・・・これをどう使おう?・・彷徨う者(悪魔)、に協力するのは今ひとつ気が進まない。彷徨うっているうち、カイトがふと視界に入った。

  • 天使の翼 悪魔の影106

    既にカイトの思い浮かべる、透き通った海と熱帯魚のイメージはヨシヒロと共有されていた。

    「・・でもどこの島?・・・」早速カイトたちは天使に問いかけた。

    「・・・どっかいい島無いすか?南の方で・・・」

    「・・・それは日本から見て南ということか・・・お前たちは私を便利屋とでも思っているのか?・・・」ミカエルは面白くない。

    「・・・でも助けてくれるんでしょ?・・・」カイトヨシヒロの意識が言った。

    「・・・それは・・まあ・・そのくらいは簡単だが・・・」赤道に近く、太平洋にある小さな島。それが映像のなかに示された。近くには大きな島はなく、人はいない。誰にも関心を持たれていないであろう島が示された。

    「・・・ここならいいだろう・・・もちろん無人島だ。港もない・・・」

    「・・・そんなに時間はかかんねえし・・明日行ってみようぜ・・・」カイトは小学五年生のような笑顔を浮かべた。傍から見れば一人で笑っている。

    「・・・まあいいけど・・・暮らすのはちょっと・・・」

    「・・・いいじゃん!様子見だよ様子見!・・・いいとこかもしんねーよー!」

    「・・・ああ、分かったよ。体は君のものだし・・・でもそういうところは融合してないんだね・僕たち・・・」

    太平洋にある小さな島。例の別荘にある冷蔵庫の食料はそのままに、翌日カイトはその島にいた。

    「・・・ここはいいなあ・・電気がなくてもずっとここでもよくねえ?・・・」

    「・・・いいところだとは思う・・でも食べ物はどうするの?魚ばっかり??・そうなるかな・あとはなんか動物とか焼いて食う?・・・」

    カイトは海の上に浮かび、透けて見える熱帯魚を眺めている。おもむろに服を脱ぎ素っ裸で海に入る。服は海の上に浮かんでいた。カイトは自分の体表面を守る力を解除した。今は海水に皮膚が触れている。力で体表面を守っていないのだ。泳ぐことが気持ちいい。カイトはそのまま潜った。カイトから逃げてゆく熱帯魚。しかし少し逃げるだけだ。まだきびすを返しその辺りをうろついている。目の前には太陽に照らされたサンゴと熱帯魚。

    息継ぎのために海面に浮上するカイト。

    「気持ちイーなー」思わず声に出す。

    「・・・僕はたまには美味しいものが食べたいけど、基本ここにいるって感じでオーケーだよ・・・でもさ・・・しばらく泳いだら日本に帰ろう。とりあえず、買った・・・いや・手に入れた食料を片付けないともったいないよ・・・」